レジ袋を禁止したらプラスチックゴミが増えてしまった。
システム思考ではまず、「どんな二次的影響が予想されるだろう? レジ袋が禁止されたら、何がその穴を埋めるのだろう?」と考える。
消費者はおそらく、①紙袋の利用を増やす、②エコバッグを持参する、③袋を使わなくなる、のどれかの行動を取るだろう。
ここで、最初の驚きがやってくる。
紙袋やエコバッグは、水路に入り込まないという点ではレジ袋よりずっと優れているが、劣っている点もあるのだ。
それらはレジ袋より嵩も重さもあるので、製造と輸送にずっと多くのエネルギーを消費し、炭素排出量が増える。
イギリス環境省は、さまざまな種類の袋を1回使用するごとの環境負荷を算出し、紙袋なら3回、綿のエコバッグなら131回使わなければ、レジ袋よりもエコにならないとしている。
さらに紙袋やエコバッグの製造過程は、レジ袋に比べて大気や水質を汚染する物質の排出が多い。
レジ袋に比べてリサイクルもずっと難しい。
そんなこんなで、部分と全体の利益相反の問題が生じる。
河川や海の生物の保護が主な狙いなら、レジ袋を禁止するのは得策だ。
だが、環境全体の改善をめざすなら、得策とは言い切れない。相反する影響を考え合わせる必要がある。
もうひとつの難しい点として、禁止を実行する方法についても、とても慎重に考えなくてはならない。
シカゴでは2014年に、小売店での薄い使い捨てレジ袋の無料配布が、禁止された。
小売店はどう対応したか。
厚いレジ袋を配布したのだ。
厚いレジ袋なら再利用できるという触れ込みだったが、もちろんほとんどの客がすぐに捨ててしまった。
環境からプラスチックを追放するつもりが、かえって増やす結果になってしまったのです。
環境問題はレジ袋ひとつを取り上げても、難しい問題だと思います。
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