今から30年前を振り返れば、中高年は若手に語って聞かせるに値するさまざまなエピソードを持っていたように思います。
果たして今、若手の心をつかめるだけのエピソードを持っている中高年は、どれだけいるのでしょうか。
若い人たちが、おじさんたちの話を聞くのを嫌がるようになっている、といったことを耳にしますが、それは若い人たちが変わったからではなく、中高年側の話の内容が、経験不足によって大きく劣化したからなのかもしれません。
企業が成長できなかったことに加え、コンプライアンスの浸透と過剰な解釈が、行動を規制や萎縮させ、経験不足に輪をかけた面もあるでしょう。
チェックや報告、承認に関する社内規制が多く生まれ、書類が増え、それに費やす時間が価値を生む業務を減らしていきました。
また、何か意欲的な取り組みをしようとしても、さまざまな立場からリスクや問題点を指摘され、実行に移すことが難しくなりました。
30年前、民間企業では、お役所仕事を笑うような場面が多くありましたが、今や大企業を中心に、民間でも、お役所仕事がよく見られるようになったと感じます。
自己研さんしない日本のビジネスパーソンも影響していると思います。
経験不足を多少でも補おうとすれば、学習が重要なのでしょうが、経済産業省が2017年に発表した、「雇用関係によらない働き方に関する研究会・報告書」を見ると、世界各国に比べて、日本のビジネスパーソンの学ぶ意欲の低さがはっきりと分かります。
例えば、「人材育成投資(OJT以外)/GDP 比率の国際比較」では、欧米各国が1.5%程度であるのに対して、日本は1995年からの5年間が約0.4%、2001~2010年が約0.2%と大きな差があります。
ちなみに、この期間で人材育成投資を減らしているのは、日本だけです。また、高等教育機関への進学における25 歳以上の入学者の割合(国際比較)では、経済協力開発機構(OECD)の各国平均が18.1%なのに対して、日本は1.9%で最下位となっています。
このように30年間で日本経済失ったものは大きいように感じます。
こちらからは以上です。ありがとうございました!