ロシアのウクライナへの侵攻は、世界経済に大きな影響を与えています。
各国の経済に不安定な状態をもたらす中で、日本の今後はどうなるのか。
今回のウクライナ侵攻について、ある市場関係者は「プーチン大統領がインフレを人質にした」と指摘していました。
ロシアは世界3位の産油国、小麦の輸出量は世界1位。また半導体の生産に欠かせないレアメタルも世界に輸出しています。
インフレを人質に取られながらも、各国はロシアへの経済制裁を強めたため、実際にロシアからの輸出が絞られ、世界的なインフレとなっています。
原油先物価格の高騰に拍車がかかり、小麦の先物価格にいたってはおよそ1.5倍に上昇しました。
また日本での輸入価格の上昇に拍車をかけているのが「円安」です。
専門家によると、「輸入品価格そのものの上昇と円安の進行、ダブルパンチで日本経済に影響が出始めている」と話します。
かつては、世界情勢が混乱するとリスクの低い安全資産として円が買われ「円高」となりましたが、今回は異なります。
専門家はこの円安傾向について、「為替は中長期的には国力の現れで、円安は国力が弱くなっていることだ」と危機感を示しています。
今回、日銀がゼロ金利政策を継続する一方、アメリカは金利を上げたためドルが買われ、ますます円安は強まりそうです。
日本が円安政策を継続すれば、輸入されるエネルギー資源などのコスト高はおさえられません。そうなると主に日本の労働者の7割が働く中小企業が打撃を受け、賃上げできない状態となります。
専門家は、「賃上げできなければ、長期的に消費は冷え込み、企業の成長も伸び悩む」と指摘します。
つまり、景気が低迷したままで物価高となるいわゆる「悪いインフレ」に陥る可能性があるわけです。
ウクライナ危機をきっかけに見えてきた「悪いインフレ」の問題をどう回避するのか、政府や企業は危機感を持って取り組む必要があると言えそうです。