今回は生前贈与と相続による節税の範囲の話です。
亡くなる前から相続財産になると思われる財産をあらかじめ贈与しておく生前贈与と、相続の発生をきっかけに財産が移転する通常の相続は、どちらにおいても一定の控除による節税効果があります。この2つの節税効果について順にみていきます。
○生前贈与による節税効果
生前贈与では、贈与を受けるほうの贈与税について、1人当たり年間で110万円までは非課税となります。
この仕組みは暦年贈与と呼ばれることもあります。
1人当たり年間110万円までという贈与額ではありますが、期間について上限はなく、110万円以下であれば何年でも非課税で財産を移転させることができます。
例えば、2人の子に毎年100万円ずつ、5年間の生前贈与を行えば、贈与税も相続税もかからずに1000万円の財産を移転させることが可能です。
ただし、亡くなる前3年以内の贈与は相続財産に組み込まれてしまうことや、1000万円の財産を贈与したかったが、非課税にするために毎年100万円を10年分割で暦年贈与したような場合は、定期贈与として贈与税の対象となる可能性があることには注意が必要です。
生前贈与には「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」といった各種特例もあり、そうした制度をうまく使えば、1年で1000万円以上の生前贈与を非課税で行うことも可能です。
また、親や祖父母から子や孫への贈与は、学費や生活費など扶養義務に基づくもので、都度必要な範囲の金額で行っていれば、基本的にその贈与は非課税となります。
○相続による節税効果
相続による節税効果は、相続人の数によって変わります。
相続税には、3000万円+600万円×法定相続人の数までが非課税となる基礎控除があります。
つまり、相続財産のうち少なくとも3600万円は非課税となり、相続人の数が増えれば4200万円、4800万円と非課税の範囲も広がっていくことになります。
ただし、原則として子と孫は同時に相続人とはならない、養子で相続人となれるのは実子がいる場合は1人まで(実子がいなければ2人まで)など、一定の制限がある点には注意が必要です。
こちらからは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。