老後の親を子が扶養するケースを考えると、親子関係は税法、健康保険ともに問題にならない。
同居していなくても大丈夫。
問題はやはり収入になる。
まず、税法の場合、年金生活者は制限が108万円から65歳未満で130万円、65歳以上で158万円と変わる。
国民年金のみの平均額ならば158万円に達しないが、厚生年金をもらう特に男性の場合、オーバーする可能性が出てくる。
また、自営業をやっている場合などは、簡単に対象から外れてしまいかねないことは説明したとおり。
健康保険の場合はさらに厄介になる。
60歳以上の収入の基準は180万円未満と税法上よりも緩和されるが、被保険者の収入と比べられてしまう。
同居の場合は被保険者より少なければ良いが、別居の親の収入は仕送り額より少ない必要がある。
国民年金の平均受給額でも5万円以上はあるため、継続的にそれ以上の仕送りをしていなければならない。
仕送りもしないのに親を扶養に入れて控除を受けようなどという小細工はダメだということだ。
また、健康保険制度に関しては75歳になると、国民健康保険からも会社の健康保険からも脱退となり、全員が後期高齢者医療制度の被保険者となる。
このため、親を健康保険での扶養にするにしても75歳が上限となる。税法上は75歳になっても関係ない。
このように、扶養される側の収入に対する制限が、老後の親を子の扶養に入れる際にはハードルとなることがわかる。
年金収入のみでも状況によってはオーバーしてしまいかねず、まして老後も働くことが当たり前になりつつある今、働いていてある程度の収入を得ている親は、扶養の対象とならない。
さらに、これは老後の親に限った話ではないが、2022年は社会保険の対象となる従業員の範囲が拡大する。
これまでは労働時間や雇用期間、賃金などの条件に加え、従業員数が501人以上のパートタイマーなど短時間労働者が社会保険の加入対象となっていたものが、2022年10月からは101人以上の企業、2024年10月からは51人以上の企業のパートも対象となるため、これによって健康保険の扶養から外れるケースも出てくるそうです。
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