○「無力感を生む」要因を知る
人にはもともと自発性が備わっています。どんな人でも子どものうちは、自分がやりたいことをやりたいと主張したり、行動に移したりします。
ところが、ある事柄について、長期にわたってトライし続けたにもかかわらず、どうしてもうまくいかないことが続くと、「何をやってもどうせ無駄だ」という認知が生まれ、徐々に自発性が縮小していきます。
そして、最終的には過剰に従順になり、抵抗することさえしなくなります。このような現象を心理学者セリグマンは「学習性無力感」と呼びました。もしかすると、質問や意見が言えない職場は、メンバーがこの状態に陥っているのかもしれません。
学習性無力感についてのセリグマンの衝撃的な実験があります。
犬を2グループに分けて電気ショックを与えるのですが、一方はボタンを押すとショックが止まり、一方は何をしてもショックが止まらないようにします。
その後、低いハードルを乗り越えれば電気ショックから逃れられる別の部屋で、再びショックを与える実験をしました。
すると、前者の「ボタンを押せば電気ショックは止まる」と学習したグループは、ハードルを乗り越えるのですが、後者の「何をしても無駄」と学習したグループは、電気ショックに抵抗する手段を探すことなく、じっとショックに耐えたというのです。
○自発性に「ゼロ回答」していないか、振り返る
さて、もし職場で似たような状況が起こっているとすれば、思い当たる節はないでしょうか。
例えば、メンバーの質問に対して「そんなことも分からないのか」「まずは自分で考えろ」というような返答をしたり、提案してくる意見に対して「そんなものは全然ダメだ」「ピンと来ない。よく分からない」「黙って言うことを聞いていればいい」と言ったりしていないでしょうか。
こういう会話が繰り返されれば、「質問しても、意見を言っても無駄」という認知が生まれても仕方ありません。
このように、せっかくのメンバーからの自発的な発言に、上司や先輩が「ゼロ回答」をしていないか、振り返りが必要であると思います。
こちらからは以上です。お読みいただき、ありがとうございました😊