初物は、パワーや生命力、生気があふれ、それを食べることで新たな生命力が宿り、寿命が75日延びると言い伝えられていたようで、中でも初ガツオは、その生きの良さからエネルギーや生命力の強さを感じられ、特に人気の初物でした。
さらに、初ガツオのシーズンは、実りや収穫の季節である秋に比べて初物が少なかったため、新茶と、初鰹が初物の主となり、それも大変貴重と感じられる理由になりました。
カツオは、南の海から黒潮に乗って、イワシなどを追いながら北上し、夏には三陸沖から北海道沖に達し、水温の低下とともに南下する回遊魚です。
新緑の頃に取れるカツオを、初ガツオ(上り鰹)と呼び、まだ魚肉の脂が少なく、透明感があり赤々として、淡泊な味わいが特徴です。
一方、イワシなどをたくさん食べ成長し、秋口に南下を始めて取れるカツオを、戻りガツオ(下り鰹)と呼びます。
脂がたっぷりとのっているため、初ガツオに比べて濃厚でもっちりとした食感が特徴です。
脂カツオ、トロカツオとも呼ばれ、秋の味として好まれています。
例えば、好きなすしネタのランキングでは、中トロやサーモンがよく上位に挙げられます。
このように、日本人は脂ののった刺し身を好む傾向が強いので、戻りガツオの方がおいしいと感じる人が多いのかもしれません。
ただし、初ガツオと戻りガツオのどちらがおいしいのか、決め付けることはできません。
マグロでも、赤身派とトロ派に分かれるのと同様、お好みだと思いますよ。