東京電力ホールディングス(HD)など大手電力9社は9月から、電力小売りとの契約を持たない企業に必ず電気を届ける「最終保障供給」の料金を引き上げることとなりました。
最終保障は割高な料金で一時的に電力を供給する仕組み。
燃料高で通常の電気料金より割安になる逆転現象が起きており、経済産業省が是正に動いていた。
9月以降の検針分から新料金を適用する。
従来は企業向けの標準料金の1.2倍に設定していたが、9月以降は卸電力価格の上昇分を最終保障の価格に上乗せする。
料金の下限は各社の標準料金に定め、卸電力価格が下落しても最終保障が通常の契約より割安にならないようにする。
各社は8月後半にかけて、利用者に値上げを通知する。
東電HD管内の最終保障の場合、遅くとも10月請求分には新料金が適用される。
最終保障は大手電力傘下の送配電会社が、行き場を失った企業の電力供給を一時的に引き受けるセーフティーネットだ。
契約は1年未満を想定しており、企業は料金を払えば電力供給を受けられる。
ただ、電力を調達する卸電力価格の高騰により、電力小売りが最終保障より高い価格しか顧客に提示できなくなっていた。
新電力の撤退や事業縮小もあり、最終保障に流入する企業が増えた。
東電HD管内では最終保障供給を受けている企業が7月15日時点で約8000社に上る。
送配電会社は市場価格で最終保障分の電力を調達する必要がある。
最終保障では需給調整に使う電力を供給することになっており、安定供給が損なわれるリスクもある。
電力調達コストが供給価格を上回る逆ざやの状態になるため、最終保障を利用する企業数が増えれば増えるほど、大手電力の業績も圧迫される。
大手電力各社は企業向けの通常料金の単価引き上げを検討している。
東北電力では11月以降、料金を約16~18%値上げする。
最終保障の料金見直しを受け、今後は利用者が通常の契約に戻ることが想定される。
ウクライナ危機による市場価格の高騰が続く限り、需要家への重い負担も継続する。
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