海外積立年金保険では、毎月「保険料」という形で、固定の金額を拠出し、その資金が保険契約内において、投資信託等運用資産の購入に充てられます。
そうして積み上げてきた運用時価総額を、契約期間中に一部取り崩したり、また契約の満期時に解約して受け取るものです。日本と比較し金利・利回りが高いことで、富裕層などまとまった資金がある方に人気の商品です。
しかし、ある調査機関では、近年ではCRSの影響もあってか、その運用期間中に調査、または問い合わせが入ることが多くなっています。
○税務署からどんな指摘事項が挙がるのでしょうか。
税務当局からの問い合わせで多く挙がるのは、契約期間中において、ある一時点(たとえば年末において)での時価総額で、投資元本に対する上澄み(利益)部分は、申告の対象になるのではないか、という点です。
たとえば運用報告の出力時に表面上の利益が出ていたとしても、それはまだ実際に取崩し、解約等がされたわけではなく、「実現していない利益」であるため、利益申告の対象にはなりません。
また、仮に運用期間中のファンド間の資金を移動してもその時点では課税されず、実際の年金受取時や解約時まで課税が繰り延べられるため、全額再投資される、長期においては複利効果が生まれることが、年金保険型商品の最も大きな特徴の一つです。
同じ理由で、日本の個人・法人は日本円から外貨の契約に対して毎月の保険料を拠出することも多いのですが、為替差損に対してもファンドの売却時まで実現しないため申告の対象にはなりません。
しかし、上記の点を税務署は理解せず、その時点での投資元本に対する運用利回り(上澄み)の高さだけに着目し、「申告対象の利益が出ているはずだ」や、挙句の果てに「代表者に何かしらの『配当』などが払われているのでないか」の指摘が続くケースがあります。
この種の契約においては、契約期間中に投資信託から配当が出ることも極めて稀ですが、注意して下さい。
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