インボイス制度、現役声優が反対に声をあげています。
なんと声優の3割弱が廃業検討しているとのことです!
実力派の脇役が廃業し、作品の質低下&業界衰退を懸念されています。
アニメ『SPY×FAMILY』シルヴィア役などで知られる声優・甲斐田裕子、
『S.W.A.T.』シリーズ主人公役の咲野俊介、
『機動戦士Ζガンダム』エマ・シーン役の岡本麻弥が共同代表を務める有志グループである、「VOICTION」が、インボイス制度を説明したアニメーションを制作公開しました。
完全自主制作となる本作はなぜ制作されたのか。
インボイス制度が業界に与える影響はどのようなものか?
○公開された説明アニメ、今回のアニメを作ることになった経緯を教えてください。
【咲野】 私たちはインボイス制度の導入に反対する有志の声優が集まっているチームですので、その活動の一環として議員に会いに行ったり周りの仲間たちへの周知活動を行ってきました。
その中で、やはりどうしてもこの制度が複雑で理解が難しい。
どうにか一般の人たちが受け入れ易く、且つ我々の本業を活かせるような方法はないかと模索していました。
そうしていたら、偶々メンバーの1人が過去に制作したキャラクターがあり、関係者に動画を作れる方が見つかり、そして「スピンノーツ」さんという収録スタジオをお持ちの企業さんが音声の編集をやってくださるという声を掛けてくださって、
「これならできるぞ」と作り始めました。
○制作される中で印象に残っていることはありますか?
【甲斐田】 大変だったのはやっぱり最初の台本作りです。
制度があまりにも難しいので、かわいいキャラクターを使ってわかりやすくしようとするんだけど、そうするとどこまでも長くなってしまって。
私たちのTwitterでも何回かに分けて流せるようにしたいと思っていたので、台本作りにはかなり時間をかけたと思います。
【咲野】 台本ができれば後は我々の本業ですから。
収録は思ったよりもスムーズに進んだなと思います。
【甲斐田】 普段は同業者だとまずスタジオでお芝居を見て、それから仲良くなっていくことが多いんですが、VOICTIONではみんなの芝居を知らなかったから、ちょっとドキドキしました。
でもみんなイメージ通りというか、うまくハマったものを作れたと思います。
【咲野】 新しい面を見せてくれる人もいましたね。「甲斐田裕子を探せ!」というのは一つの楽しみ方だと思います。
【甲斐田】 「インボイス」というと政治の話か、と思う方もいると思いますが、生活に直結する話なので、
まずはこのアニメを見て制度について知って欲しいなと思っています。
私たちは制度に反対していますが、アニメは明確に反対と謳っている訳ではなく、
「まずは知ろう」
「一緒に考えよう」
というスタンスで作っているので、これまで私たちが出演したアニメやドラマ・映画を楽しんでくれた方々が、ライトに見て知って、そして広めてくれるととても嬉しいなと思っています。
【咲野】 そういう意味では、ターゲットは「これまでのVOICTIONを知らない人」です。
我々の活動を応援してくれる方たちにももちろん見てもらいたいですが、そこからもう一歩外に広がっていくことを望みます。
○そもそも「インボイス制度」とは、どのような制度でどういった問題があるのでしょうか?
【甲斐田】 インボイス制度は、消費税に関する新しい制度です。
簡単にいうと民間での税金の押し付け合いです。
フリーランスや小規模事業者である消費税免税事業者に仕事を依頼していた企業側が、相手が課税事業者になってくれないと納める消費税額が増えてしまうんです。
そのため、これまで消費税を納めなくてよかった免税事業者たちが、課税事業者になることを迫られる場面が至る所で起こってしまいます。
その影響で、声優やエンタメ業界だけでなく農家さんや一人親方、デザイナー、ライター、漫画家、アシスタント、ヨガインストラクターなど、その他ありとあらゆる分野で廃業するかもしれない人が多数出てしまうのです。
○それだけを聞いても一般の人間には、少しわかりづらいですね。
【咲野】わかりづらいので、このアニメを見ていただきたいです。
本当に複雑な制度なんです。
一般の方は「仕入税額控除」なんて言葉、そうそう耳にしませんよね。
私もそうでした。
でもそんな複雑な制度を、全国で1000万人いると言われるフリーランス事業者たちが理解して登録しないといけないという、とんでもない難易度の制度なんです。
しかも登録したら、消費税課税事業者になる。
毎年の確定申告で消費税も別に申告して納めないといけないんです。
この計算式が非常に複雑で、青年税理士会はじめ税理士や弁護士の先生たちの一部も、「実現困難だ」と強く反対しているとのことです。
こちらからは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。