東京都内のロシア食品専門店が看板を壊されたとの報道がありました。
壊した行為にはどのような法的問題があるのでしょうか。
他人の店の看板を壊せば、建造物損壊罪または器物損壊罪という罪に問われる可能性があります。
看板の形状が建物の一部となっている場合は建造物損壊罪(刑法260条、5年以下の懲役)、建造物とは評価できないような場合は器物損壊罪(刑法261条、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)になり、犯罪です。
また、民事上も不法行為となり、壊した看板の損害を賠償する責任を問われることもあると思います。
容疑者が捕まったとして、看板を壊した理由に、ロシアのウクライナ侵攻を挙げた場合、量刑などに影響するのでしょうか。
壊した本人としては、ロシアのウクライナ侵攻への抗議の意味で、正義心から行ったことなのかもしれませんが、そうした動機は量刑において有利に考慮されることはないと思います。
ロシア政府に対する批判を、ロシア人やロシア食品専門店を営む個人に向けるのは、明らかに間違っており、何の罪もない人々への差別につながります。
正義心の暴走が社会に与える影響は大きく、むしろ、量刑において不利に考慮される可能性もあります。
戦争反対の声を上げることには大きな意味があると思いますが、方法を誤らないことが大切だと思います。
ロシア人のサイトに誹謗中傷を書き込む人もいるようですが、こうした行為の法的問題については、ネット上で特定のロシア人に対して誹謗中傷を書き込んだ場合、内容によっては、侮辱罪などの犯罪が成立する可能性があります。
また、民事上も、不法行為となり、慰謝料などの損害賠償責任を問われる可能性があると思います。
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。