マンションの適正価格や資産価値を判断するための価格情報サイト
- マンション情報の住まいサーフィンTOP
- コラム
- 細野 透
- [第079号]国交省公表「タワマンの全体像を説明した資料」の興味深い中身
[第079号]国交省公表「タワマンの全体像を説明した資料」の興味深い中身
2023年08月14日
●●●約5年ごとに公表される「マンション総合調査・結果報告書」
国土交通省は約5年ごとに、「マンション総合調査・結果報告書」と題する興味深い資料を公表しています。
その最新版は、「平成30年度(2018年度)マンション総合調査 結果報告書」です。実はこの報告書の中に、資料3『マンションを取り巻く現状について』と題する、極めて興味深い資料が混在していました。
●●●「タワーマンション」の詳しい中身
「『マンションを取り巻く現状について』の目次一覧」のうち、私が「極めて興味深い」と感じたのは、★★★で示した⑲〜㉑の超高層マンション(タワーマンション)の状況です。
とりあえず、「⑲全国の超高層マンション(タワーマンション)の新規竣工棟数・累積棟数(2021年12月末時点)」、に掲載された画像を見て下さい。
この画像には、以下に示す説明文が、添えられています。
★超高層マンション(20階以上のマンション)は、2000年代に入り、新規竣工棟数が大幅に増加しており、2021年末の累積棟数は全国で約1400棟に上る。
★特に2003~2010年に多く供給されており、これらのマンションの多くが大規模修繕工事を行うことが見込まれる。
「ウーンッ」、そうなのですね。
●●●超高層マンションでは賃貸戸数の割合が高い
★超高層マンションでは、『賃貸戸数の割合が10%を超えるマンション』が約6割を占めており、マンション全体に比べると高い傾向にある。
★2008年度、2018年度のマンション総合調査結果を比較すると、10年間で超高層マンションにおいて賃貸化が進んでいることがみてとれる。
●●●超高層マンションにおける総会・理事会の開催状況
★超高層マンションにおける「総会の開催頻度」は、マンション全体と同程度である。
ただし、「区分所有者の通常総会への出席率が、8割以下のマンションの割合」は、半数に上る。
★超高層マンションにおける理事会の開催頻度は、月1回程度が約8割である。
マンション全体に比べて高い傾向にある。
なお、マンション全体の理事会の開催頻度は、築年数が古いほど高い。
●●●マンション購入時に考慮した項目
次に、下の表を眺めてください。
★区分所有者がマンションの購入時に考慮した項目としては、「駅からの距離など交通利便性(72.6%)」、「間取り(63.7%)」、「日常の買い物環境(52.8%)」などの割合が高い。
★一方、「地域やマンション内のコミュニティ活動 (4.0%)」、 「共用施設・サービスの充実度(6.8%)」、「共用部分の維持管理状況(11.5%)」などの割合は低い---。
「ウーンッ」、そうなのですね。
●●●『マンションを取り巻く現状について』の目次一覧
①分譲マンションストック戸数の推移
②マンションストックの地域別分布
③大規模な団地型マンションの高経年化
④高経年マンションストックの増加
⑤区分所有者の高齢化・非居住化
⑥既存マンションの流通量の増加
⑦首都圏マンションの中古成約件数と新築分譲発売戸数
⑧区分所有者の永住意識
⑨マンションの管理事務の委託状況
⑩管理組合の役員の年代別構成比
⑪管理組合の役員就任への対応等
⑫管理組合の管理者の選任状況
⑬マンション標準管理規約への準拠状況等
⑭組合員名簿・居住者名簿の作成状況
⑮適切な長期修繕計画・修繕積立金の不足
⑯高経年マンションにおける修繕不足の懸念
⑰修繕積立金の積立方式の設定状況
⑱大規模修繕工事の実施状況
⑲超高層マンションの新規竣工棟数・累積棟数 ★★★
⑳超高層マンションにおける賃貸戸数の割合 ★★★
㉑超高層マンションにおける総会・理事会の開催状況 ★★★
㉒マンション管理に関する情報の開示状況(概要)
㉓マンション管理に関する情報の開示状況(事例)
㉔マンション購入時に考慮した項目
㉕マンション購入時における長期修繕計画の確認状況
㉖マンション総合調査の概要
㉗マンション管理士の役割等
㉘マンションの建替えの実施状況
㉙要除却認定制度・マンション敷地売却事業の実施状況
㉚マンション建替え実績の分析1(建替前と建替後の比較)
㉛マンション建替え実績の分析2(区分所有者の負担額)
㉜マンション建替え実績の分析3(地理的要因)
㉝マンション建替え実績の分析4(マンション規模による比較)
注「星印★★★」は、超高層マンション(タワーマンション)に関する事項。
この記事の編集者
細野 透(ほその・とおる)
建築&住宅ジャ─ナリスト。
建築専門誌『日経ア─キテクチュア』編集長などを経て、2006年からフリ─ランスで活動。東京大学大学院博士課程(建築学専攻)修了、工学博士、一級建築士。
著書に、『建築批評講座』(共著、日経BP社)、『ありえない家』(日本経済新聞社)、『耐震偽装』(日本経済新聞社)、『風水の真実』(日本経済新聞出版社)、『東京スカイツリーと東京タワー』(建築資料研究社)、『巨大地震権威16人の警告』(共著、文春新書)、『謎深き庭 龍安寺石庭』(淡交社)など。
あわせて読みたい
コラム検索
連載コラム
-
沖 有人のコラム
[第720号]家を買うなら、生命保険を組み合わせて考えよう
2024年06月17日 -
田中 和彦のコラム
[第215号]中心部不動産の高騰で薄まる「地ぐらい」
2024年06月12日 -
細野 透のコラム
[第079号]国交省公表「タワマンの全体像を説明した資料」の興味深い中身
2023年08月14日 -
住まいサーフィン編集部のコラム
窓・サッシ断熱リフォームで快適な暮らし!費用やメリットデメリットを紹介
2024年06月19日