本のページをめくるときや、お札を数えるとき、指先をペロッとなめて湿らせる人がいます。
自分の本や、そのまましまうお札なら自由ですが、図書館の本や新聞、こちら側が受け取るお札だと、「なめた指で触るのはやめて!」と叫びたくなる人もいることでしょう。
こうした人を「ペロリスト」とも呼ぶようで、特に高齢者に多いように思えますが、肌が乾燥しがちな冬場は、高齢者以外も、ひとごとではないかもしれません。
指なめが必要になる原因とその防止策はあるのでしょうか。
紙をめくったり、レジ袋を広げたりできるのは、指先のどういう働きによるものでしょうか。
指先を物に押し当てたまま指をずらすと、指先に摩擦力が生じ、物は指先と連動してずれます。
指と物との摩擦力が、紙同士や袋同士の摩擦力よりも強くなると、重なった紙やレジ袋から1枚だけずらすことができます。
これができるのは、指先に生じる摩擦力があるからです。指先の押し当てる力や湿り気具合、接地面積などが大きいほど摩擦力が強くなります。
逆に指先が乾燥していたり、皮膚が硬くなって弾力を失ったりすると、摩擦力が弱くなり、紙めくりやレジ袋を広げる行為が困難になります。
高齢になると、皮膚にどういう変化が起きるのでしょうか。
人の皮膚の構造自体は、若い人も高齢者も基本的には変わりませんが、年齢とともに皮膚の組織量や水分量、天然保湿成分が減少するとともに、皮脂分泌や発汗量も減少するため乾燥しやすくなります。
また長年、日光や摩擦などの機械的刺激にさらされるため、角質層は厚く、皮膚は硬くなり、弾力を失っていきます。
指先や手のひらの皮膚は他の部位より角層が厚い構造で、皮脂腺はなく、汗腺は発達しています。
高齢になると、指先も他の部位の皮膚と同様の変化が起こります。
他の部位よりも角層が厚くなり、皮脂分泌がなく発汗量も低下するため、より乾燥しやすくなり、硬く弾力を失い、ゴワゴワしてきます。
これが皮膚の摩擦力が減ってペロリとしてしまう原因です。
昔は気にもしませんでしたが、コロナ禍の今では、ちょっとペロリはやめた方が良いですね。
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