名古屋大などの研究で、ワクチン成分のmRNA純度99%で副作用の少ないワクチン開発進む
名古屋大学などの研究で今月11日、新型コロナウイルスワクチンなどの成分になる「メッセンジャーRNA(mRNA)」を99%以上の高純度で製造する技術を開発したと発表しました。
純度が高まることで発熱などの副作用の抑制も期待できるということです。
設立したスタートアップを通じて、国産のmRNA製造技術として実用化を目指しています。
名古屋大と東京医科歯科大学の研究成果で、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズにも掲載されました。
mRNAワクチンはウイルスの目印となる、たんぱく質の設計図が入ったmRNAを投与し、
体内で目印のたんぱく質が合成されて、ウイルスへの免疫をつけます。
ワクチンとして機能させるために鎖状のmRNA分子の端に、たんぱく質の合成に必要で炎症反応を抑える役割がある「キャップ」と呼ばれる構造を作る必要があります。
しかし、既存技術ではキャップ付きのmRNAを製造しようとしても純度が60〜90%程度にとどまっていました。
今回研究チームは、キャップ付きのmRNAを精製する工夫で、純度を最大で99%以上に高めました。
キャップの構造を一部変えて、たんぱく質の合成量を約5倍に増やすことにも成功。
純度の高い少量のmRNAから多くのたんぱく質が作れれば、ワクチンとして接種する量も少なくて済みます。
より多くの人に供給しやすくなるだけでなく、発熱などの副作用を減らせる可能性もあるということです。
mRNAワクチンはコロナワクチンで初めて実用化し、今後は他の感染症やがんのワクチン、遺伝病の治療薬などでも応用が期待されています。
研究チームは国産のmRNA製造技術の実用化に向け、スタートアップを設立。
政府の支援も受け、2026年度に国産技術で製造したコロナワクチンの臨床試験(治験)を始める計画です。