アメリカのマサチューセッツ州では、2022年2月に公立学校では一律にマスクを着用する政策方針を撤回して、学区ごとにルールを選択できるようにしました。
その結果、多くの学校がマスク着用義務を解除しましたが、引き続きマスク着用を継続した学校もありました。
この研究は州の方針変更から約15週間の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発症率を、解除した学校と継続した学校で比較しています。
ボストン市近郊の72学区を分析対象とし、通学している生徒29万4084人と教職員4万6530人が含まれています。
観察期間は州の方針変更が発表された2022年2月28日から6月15日まで。
主要評価項目は生徒と教職員のCOVID-19発症率としました。
ルール変更の影響は差分の差分析で評価。
州の方針変更後、72学区のうち46学区(64%)は最初の週からマスク着用義務を解除し、17学区(24%)は第2週から解除し、7学区(10%)は第3週から解除。
マスク着用ルールを継続したのは、BostonとChelseaの2学区のみ。
ルール変更前の学区による差分はほぼゼロでした。
ルール変更後の第1週は、解除した学区では継続した学区に比べ、生徒と教職員1000人当たり1.4人(95%信頼区間0.6-2.3人)COVID-19の患者数が多くなりました。
それが、第9週では9.7人(7.1-12.3人)に増加。
ルール変更から15週間では、COVID-19患者数が生徒と教職員1000人当たり44.9人増加しました。
15週間で実際に増えた患者数は1万901人(8651-1万5151人)と推定されています。
ルール変更の影響は生徒よりも教職員でより顕著に出ました。
15週間で教職員1000人当たり81.7人(59.3-104.1人)COVID-19患者数が増加。
検査で感染陽性と判定されると少なくとも5日間隔離するよう指示されるため、生徒は延べ1万7500日通学できなくなり、教職員は延べ6500日通勤できなくなったと考えられます。
これらの結果から専門家は、学校でのマスク着用義務解除は明らかにCOVID-19患者数を増やしていたため、
2022~2023年の冬シーズンの感染拡大防止策と、マスクを外すための判断基準を明示することが重要だと話しているとのことです。
こちらからは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。