昨今の電気代の値上げは、尋常でない値上げ幅だと思います!
巷でも、節約術もこれ以上見当たらず。早く布団に入るようにしています、という人が多い。
その凄まじい値上がりの背景について、ポスト石油戦略研究所代表でエネルギー研究者はこう述べる。
「日本の発電は約7割を火力に依存しており、その主たる燃料は天然ガスと石炭です。
天然ガス価格は、昨年6月まで上昇が顕著だった原油価格に連動しています。
一般的に原油価格の高騰は、ウクライナ戦争が引き起こしたものだと理解されがちです。
しかし、その影響は昨年3〜6月頃に限定され、それ以前から続いてきた原油価格の上昇は、経済活動再開に伴う需要の回復がもたらしたものです」
こうして発電コストが膨らんだことから、いち早く料金の引き上げに動いたのは、2016年4月の電力自由化を機に参入してきた新電力。
旧電力(従来から発電・売電を担ってきた電力会社)も新電力に対抗していたプランは引き上げたが、規制料金のほうは棚上げだった。
○なんと7社が値上げ申請
規制料金は自由化以前から旧電力が提供していた料金体系で、「従量電灯」プランとも呼ばれる。
消費者保護の観点から「燃料費調整額」に上限が定められ、容易には引き上げられなかった。
しかし、赤字の拡大に悲鳴をあげた電力会社7社は、国に規制料金の値上げを申請。それらは認可される見通しで、今年4月もしくは6月から最大46%弱の大幅値上げが現実となりそうだ。
昨年後半には原油価格、天然ガス価格とも下落傾向にあるのは朗報だが、日本の火力発電で3割以上を占める石炭の価格高騰が著しいという。
「ロシアがパイプラインを止めて供給が滞ったため、欧州は高値を承知で天然ガスを買い漁っています。
その結果、アジアへの天然ガス供給が減り、その代替で石炭需要が拡大しています」
また、欧州諸国は天然ガスの不足を補うため、休止していた石炭火力の再開も進めているとか。
もっとも、世界における石炭生産量の半分近くを占める中国が急ピッチで増産を進めており、高騰が長期化するとの見方は主流でないようだ。
一方で、中国がゼロコロナ政策を緩和したことで需要がどれだけ戻るのかが未知数で、原油価格の今後は見通しづらい情勢という。
政府は「電気・ガス価格激変緩和対策」を実施し、2023年1〜9月使用分の電気・ガス料金に補助金が支給される。
しかしながら、先述した規制料金の値上げが認められると、補助を受けても大幅負担増となるようだ。
「ただし、原油、天然ガス、石炭のすべてが上昇しない限り、今春以降は電気代が下方修正されていくものと思われます」
これに対し、ガス代には明るい展望が待ち受けているという。
「円安の流れが止まったことや、原料の天然ガス価格が低下したことから、ガス代は補助金がなくても2月から下がっていくことが明白。
補助金の分もあわせれば、2月以降は2割程度の値下がりするかもしれません。
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