今回はブラック校則の法的問題の話です。
いわゆる「ブラック校則」が問題視されているのは、生徒の「自己決定権」を不当に制約する可能性があるためです。
自己決定権とは、自分の生き方や行動を自分で決める権利を意味します。日本国憲法13条が定める「幸福追求権」の一環として、国民に保障されているとの見解が有力です。
校則による自己決定権(またはそれに準ずる人格的利益)の制限は、国公立学校の場合と私立学校の場合で異なるものの、必要性と合理性の観点から、合憲性(適法性)がチェックされます。
○国公立学校の場合
国公立学校の校則は、公権力で国民(校則の場合は生徒)の権利を制限するもののため、日本国憲法が直接適用されます。制限の「必要性」と「合理性」が認められなければ、その制限は違憲です。
必要性とは「制限の目的が正当」であること、合理性とは「制限の手段が目的と関連しており、かつ過度でないこと」と言い換えてもよいでしょう。
目的と手段の両面を考慮して、合理的な範囲を超えた校則による権利の制限は、認められないのです。
○私立学校の場合
私立学校の校則は、公権力によって制定されたものではないため、日本国憲法が直接適用されることはありません。
しかし国民の人権保障の観点から、公序良俗(民法90条)など私法上の一般規定に、日本国憲法の趣旨を読み込んで解釈適用すべきと解されています。
従って、私立学校の校則についても、必要性と合理性の観点から問題がないかをチェックする点は、国公立学校の校則と基本的に同じです。
ただし、私立学校と生徒の関係性については「私的自治」に委ねるべき部分もあるため、私立の方が国公立よりも、やや緩やかに校則の適法性が認められる傾向にあります。
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