なぜ、世界的な金利上昇局面にあるのに、住宅ローンの変動金利は低下する傾向があるのか。
それは、いくつかの理由がある。
住宅ローンを獲得したい銀行が多い。
現在、多くの金融機関は、企業の資金ニーズが低調な中で、破綻リスクが少ない住宅ローンを有望な商品として積み上げたいと考えている。
変動金利は0.5%を割り込むような低金利となっており、一方で住宅ローン控除により支払った所得税等が最大0.7%戻ってくるので、実質的な金利はマイナスになる。こうした事情により借り手にとっての負担感が低いため、長期固定金利の住宅ローンに比べて売りやすくなっている。
また、世界的なインフレ状況にある中で、インフレ退治のために各国の中央銀行は金利の引き上げに躍起になっている。
一方で、日本銀行だけは低金利政策を継続しており、変動金利については「すぐに上昇しないだろう」という見方をする人も多く、変動金利に人気が集中している。
そこで銀行としては、変動金利を中心にキャンペーンや優遇金利を設定しているのだ。
変動金利は、後で金利引き上げができる 変動金利を積極的に取り扱っているのは、変動金利なら将来、金利を上げることができ、銀行にとってリスクが少ないからだ。
多くの銀行は変動金利の金利の決まり方については詳細を明らかにしていない。
通常、年2回金利を見直すとは記載しているものの、その決定方法については、細かい規定がない。
つまり、変動金利は年2回、銀行が自由に引き上げることができる仕組みとなっている。
また、現在の変動金利の水準は0.5%を大きく割り込む水準だが、これは「赤字」と言われている。住宅ローンは、広告宣伝費、店舗・人件費、資金調達コスト、団信保険料、デフォルトに備えた引き当てなどが必要であり、変動金利でも1%程度のコストが必要だ。
つまり多くの銀行が赤字で住宅ローンを販売している。
といことは将来、金利を引き上げて、利益を回収する可能性が高いと見たほうが良いと、私は思います。
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