会社員が病気やけがで仕事を休んだ際に受け取れる傷病手当金の制度が、1月に変わった。
これまでは「支給が始まってから1年6カ月」と期間が決まっていたが、出勤と欠勤を繰り返した場合、休んだ期間の通算で1年6カ月分を受け取れるようになった。
働くことと治療の両立をめざすがん患者らの支えになる改正だ。
東京都内で暮らす40代の女性会社員は2021年秋、肺がんと診断された。
転移がある「ステージ4」で、放射線、抗がん剤と治療の期間は長くなりそうだった。
仕事を休めば収入が減るため、不安が募った。
病院の相談窓口を訪ねると、傷病手当金の制度を教えられ、「通算で1年6カ月分が支給される」と聞いた。
「具合が悪い時には傷病手当金を受けられ、有給休暇はとっておける。安心して休職し、治療を始められました」
仕事をしながら通院するがん患者は44万8千人います。
医療技術の進歩によって、長期に入院するがん患者は減り、短期の休みを断続的にとって、通院しながら抗がん剤や放射線の治療を受ける人が増えてきた。
厚生労働省によると、19年時点で、仕事をしながら通院する人は、全国で44万8千人に上る。
傷病手当金は、会社員や公務員が、業務外の病気やけがで休んだ時に、収入をカバーする制度だ。加入する健康保険(健保)や共済組合から、給与の日額の約3分の2が受けられる。
正社員だけでなくパートも対象になります。
自営業やフリーランスが入る国民健康保険の加入者は原則対象ではない。
3日連続して仕事を休んだ後、4日目以降について支給される。
これまでも、共済組合に加入する公務員には通算で1年6カ月分が支払われてきたが、健保加入の会社員は休んだ日数に関係なく、支給開始から1年6カ月が経つと、受け取れなくなっていた。
今年1月に改正健康保険法が施行され、健保加入の会社員も通算で手当が受けられるようになった。
経過措置として、20年7月2日以降に支給が始まった人も「通算して1年6カ月」の対象となる。
冒頭の女性もその一人だ。
一つの病気ごとに1年6カ月の支給が受けられる。
例えば胃がんになって支給を受けた後に肺がんと診断された場合、再び1年6カ月の支給対象となる。
支給開始からいつまで1年6カ月の通算対象となるか等、期限はまだ明示されていない。
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