政府がコロナ禍の高齢者向け支援策として検討する「年金生活者臨時特別給付金」が話題になっている。
関係者によると、約2600万人に一律約5千円を配る案も浮上。
現役世代とのバランスを欠くため、若者や専門家からは批判が相次ぐ。
野党も国会論戦に持ち込んだ。
「何で高齢者だけなんですか、選挙目当てって言うんじゃないですか」。
岸田文雄首相は「コロナの影響の中で重層的に様々な政策を用意していますが、対応が及んでいない方がおられるかどうか、こういった議論だと思う」として、「様々な状況をみた上で政府として検討したい」と答えた。
給付金は15日に自民、公明両党幹部が首相官邸を訪れて要望した。
対象は高齢者のほか、障害や遺族年金の受給者で、所得が低い住民税非課税世帯向けの10万円の「臨時特別給付金」を受け取った人は除かれる。
高齢者が受け取る年金額は4月からの来年度、今よりも0・4%下がる。
年金の元手は、今の現役世代が支払う保険料など。
その現役世代の賃金がコロナ禍で下がっており、年金額も連動する仕組みだ。
すべての年金加入者が受け取る基礎年金の満額は259円減って6万4816円となる。
与党側は、現役世代は賃上げを期待できるが、年金はすぐに増えることは期待できないため、検討中の給付金で穴埋めすることなどを目的にするという。
若い世代からの反発は強い。
4月から年金額が下がるのは、2018~20年度の現役世代の賃金が下がったことと連動したものだ。
今後の賃上げも現役世代に広く行き渡るかは不透明で、「なぜ高齢者だけを今、支援するのか合理性がない」と指摘する。
しかも今回は、所得が少ない非課税世帯の高齢者を除外する方向で検討が進んでいる。
低年金などで困窮する高齢者への支援策でもない、とみる。
4月から年金額が引き下げられるのは、21年4月から年金額を決めるルールに変更があったためだ。
現役世代の賃金低下に合わせて年金も抑える仕組みは、16年成立の改正法に盛り込まれたものだった。
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