年金の繰下げ申出みなし制度は、2022年に導入された年金の繰下げ受給年齢の拡大に大きく影響しています。
2020年の制度改正では、繰下げ受給年齢がそれまでの70歳から75歳に拡大されました。
これにより、75歳から年金を受け取る場合は、84%の増額率で受け取ることができます。
○制度ができた背景
2020年の改正前の仕組みでは、70歳以降になってから受給請求を行い、請求時点における繰下げ受給を選択しない場合には、
繰下げ増額が適用されない、本来の年金額が受給権発生時から支給されていました。
しかし、改正によって繰下げ受給年齢が75歳まで拡大されたため、70歳以降に受給請求を行い、請求時点における繰下げ受給を選択しない場合、
請求時点から5年以上前の月分の老齢年金については、年金の支給を受ける権利が時効によって消滅するため、受給できなくなってしまいます。
そのため、70歳以降80歳未満の間に老齢年金を請求し、請求時点における繰下げ受給を選択しない場合、年金額の計算においては、
請求時点の5年前に繰下げ受給の申請があったとみなして年金を支給することとし、支給する年金額は、受給権の発生から実際に請求された5年前までの月数に応じた増額を行うこととしました。
このことが、年金のみなし繰下げ制度です。
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