政府は、児童手当の対象年齢を高校生相当にまで広げることを検討中ですが、それにともなって扶養控除がなくなる可能性も浮上しています。
その場合、納める税金が増えるため、1万円の児童手当をもらっても、実質的には数千円のプラスにとどまったり、年収850万円以上の世帯では、むしろ今よりも負担が増えたりする可能性があることが、専門家の試算で明らかになりました。
政府はこども関連予算倍増の一環として、児童手当の対象を高校生相当までに広げることを検討しています。
しかし、扶養控除廃止の可能性も出てきています。
現在は、16歳から18歳の子どもがいる世帯の税負担を軽くするための扶養控除によって、所得を38万円少なく換算して、税金が課されているところですが、この控除をなくすとなると、納めるべき所得税や住民税が増えてしまいます。
仮に児童手当を月1万円受け取っても、税金が増えるため、「実質の手当額」は1万円よりも少なくなる可能性があります。
専門家の試算によると、3人家族で父親が47歳、母親が45歳、高校生の子が17歳、母親と高校生が扶養されている年収400万円の世帯の場合、
高校生の子の扶養控除がなくなると、年間で所得税と住民税が合計5万4900円増えます。
児童手当を月1万円、年間12万円受け取るとして、増えた税金を差し引くと、実質的な手当の額は、年6万5100円となり、ひと月あたりでみると5425円となります。
○実質マイナスになるのは年収850万円以上になりそうです。
国税庁の2021年の調査では、日本の平均年収は443万円とされていますが、厚労省が調査した2020年の子育て世帯の平均年収(雇用者所得)は695万1000円だそうです。
上記の3人家族で、この額に近い年収700万円で試算すると、
税金が年間11万600円増え、児童手当を12万円受け取っても、実質の手当額は年9400円、ひと月あたりでは783円となる。
児童手当をもらっても、実質マイナス、つまり負担増となるのは、
年収850万円以上です。
850万円で試算すると、年間2600円とわずかにマイナス。
年収900万円で試算すると、税金が13万800円増えて、児童手当の12万円を上回ってしまい、年1万800円のマイナスです。
つまり、ひと月あたり900円の負担増となってしまいます。 (※比較を容易にするため、今回は扶養控除、配偶者控除、基礎控除のみで試算。実際はその他の控除があるため、「手取額」は増える可能性があります。)
以上です。もし良かったら参考になさって下さい。