今回はひとり親控除の話です。
「ひとり親控除」とは、納税者がひとり親に該当する場合に適用されるもので、2020年から所得税控除が始まっています。
○ひとり親の範囲
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日時点で、「婚姻をしていない」「配偶者の生死が明らかでない」人で、次の3つの要件の全てに当てはまる人を指します。
○その人と事実上の婚姻関係もしくは同様の関係があると認められる人がいないこと
○生計を一にする子どもがいること
○その人の合計所得金額が500万円以下であること
ここでいう「生計を一にする子ども」とは、その年の合計所得金額が48万円以下で、かつ、ほかの人の扶養親族や配偶者になっていないことが条件です。
では、年収が300万円の人で、ひとり親控除の適用がある場合の具体的な控除額についてみていきましょう。試算するにあたり、条件を次のように設定します
○試算条件
年収300万円
35歳
子どもの年齢12歳
給与収入が300万円の場合、給与所得は給与所得控除額を差し引いた金額です。
給与収入が300万円の給与所得控除額は「収入金額×30%+8万円」ですので、300万円×30%+8万円=98万円です。
そして、300万円から98万円を引いた額(202万円)が給与所得金額となります。
そして、ここから社会保険料控除や基礎控除額が差し引かれ、最終的な課税所得金額が決まるわけですが、ひとり親控除が適用されることにより、さらに35万円の所得控除を受けることができます。
給与収入が300万円であれば、標準報酬月額は25万円(ここでは賞与額も全て標準報酬月額に入れることとします)となり、その場合の社会保険料負担額は、月額1万2792円、年間約15万円です(東京居住の場合)。
課税所得金額は、給与所得から社会保険料控除と基礎控除を差し引いた額ですので、202万円-15万円-48万円の139万円です。課税所得金額が139万円の場合に適用される所得税額は5%です。
なので、さらに35万円のひとり親控除が適用されるとすると、35万円×5%=1万7500円の減税効果が見込まれることになります。
以上です。お読みいただき、ありがとうございました😊